原発と放射能を考えるページ   No.5

Re: 原子力と私 - K

2012/07/03 (Tue) 15:25:04

ちょっとジャックしたみたいで気が引けますが、他の方ももうちょっと我慢してつきあって下さい。掲示板で引き続き、H.N君に環境への負荷、使用済み核燃料処理、人の被爆について質問させて頂きます。

@ 周辺の環境への(陸や海の生物に影響を及ぼすような)放射性物質の拡散は止まっているのでしょうか?新たな爆発などが起きない限り、むき出しの炉心から日々放出される放射性物質の量は問題ないのでしょうか?福島以外の地域も調べると比較的高い放射線量が検出されているようですが、20113月の爆発時のものだけなのでしょうか?

(H.N)巷に巻き散らかされているのは、20113月の15,16頃と20日頃の大きな大放出だけ(初期の頃冷却水が海に流れた分もありますが)の勘定で有効数字1桁の話は出来ます。しばらく漏れていた分とかは誤差範囲です。今後も、原子炉本体の解体とかが始まるまでは、何も出てこないと考えていいレベルです。(何か、枝野さんの官邸発表みたいに歯切れが悪いのは、正確を期すのか、えいやっと大雑把に言うのかが難しいからです。単純化して言うと、誤魔化そうとしていると取る人が必ず居ます。中途半端な言い方になってしますことをお詫びします)


A 土壌除染は本当に効果が上がっているのでしょうか?もし放射性物質が出続けているのであれば、除染は1回では済まないことになります。

(H.N)土壌汚染は、表土を数cm取れば大丈夫です。チェルノブイリと違って日本は雨が多いので、土中に染み込む事を恐れていましたが、思ったほど染み込んでいないようです。文科省サイトにどのように除染すればいいかの指針が公開されています。田畑では、森林では、など幾つかのケースで例示されています。私もそれでよいと思いました。汚染された表土は、現地処理するといっていますが、T電の広大な敷地に積み上げれば良い、と言いたいです。それよりも、広域に薄く降り注いだ放射性物質(Cs)が、側溝の溜め枡とか池とかに濃縮される形で集まって、ホットスポットを作っています。東京都もやっと葛飾区の池の泥を撤去しようとしています。こんな所にホットスポットが出来ているんです。福島だけと思ってはいけません。たぶん静岡辺りまでは変な所ができていないか気にしないといけません。(普通は気にしなくて良いです。私も息子が東京に居ますが、逃げて来いとは言いません、九州のほうが自然放射線量の平均値が高いです)

B がれきをあちこちの自治体に持ち込んでの処理が進んでいますが、日本全国に放射性物質を移動させるは適切な方法なのでしょうか?福島の人には本当に申し訳ないのですが、核廃棄物は福島第一の周りに集中させて処理した方がよいのではないのでしょうか?

(H.N)瓦礫は、放射能汚染されてないものだけでも処理してと言っているのに。東北は全てダメという。昨夏、東北大学で土を採取して来ましたが、何もない状態でした。学生が南三陸にボランティアに行った時、市内あちこちの土も採取して来て貰いましたが、普通の測定器には分からない程度、端的に言えば「無い」といえる物でした。そんな所の瓦礫も嫌だと。毎日車に乗って喘息や地球温暖化を進めているくせに、と思ってしまいます。


C 原子炉で発生する使用済み核燃料は高レベル放射性廃棄物なので、その処理が大きな問題となっている筈です。一時はフランスの核燃料廃棄物を六ケ所村で処理しようとしたがうまくいかず、その後は逆にフランスとイギリス(の原子力関連の企業)に委託するようになったと記憶しています。日本での核燃料廃棄物処理問題はちゃんと克服できているのですか?

(H.N)燃料棒が取り出せるのは早くて5年、一声10年後でしょう。そういう息の長い戦いなんです。原子炉のそば数kmに住めるようになるのは孫の時代かも、なるべく除染して、住めない範囲を減らすために、いろいろ作戦中なんです。

普通の使用済み燃料棒なら処理法は確立しているのですが、まだ見ても居ないので、どうなっているかいろいろ考えながらシミュレーション中です。取り出せるようになる頃には、状態も分かり何とかできると信じています。馬鹿ばっかりではないんですから。



D 事故のあった原子炉で作業を続ける人たちの健康問題(被爆量)はだいじょうぶなのでしょうか?安全基準を設定しておいても最先端の作業現場では厳正に守られていないことが多いと思います。高い放射線量下、長期間の作業が続いているので、すでに安全基準の超えた人がたくさんいると考えられます。今まで一体どれくらいの人が作業をして、収束までにこれからどれくらいの人を必要とするのでしょうか?

(中村)最初の頃は、本当に(直接的な放射線障害が出る数百mSv)ギリギリで作業していた(この人たちには今後5年間放射線作業をさせてはいけないことになっています)のですが。今は、私と同じ管理基準(通常の放射線作業従事者レベル、毎年50Sv5年で100mSvまで、今回のような緊急時は100mSvまで、このときは今後5年間作業不可)で管理されています。実際には、私が40年間に放射線作業で受けた放射能は、レントゲン撮影1回分(数十μSv)にもなりませんが、。平均的日本人は、自然放射能で年間1mSv1000μSvで、医療関係(健康診断とか、歯医者とか)で同じ量の年間1000μSv受けています。これくらいの放射線を余計に浴び続けるとがんで死ぬ確率が0.5%くらい増えるそうです。これをたいしたことないと思うか。100万人が浴びれば、500人は嫌な貧乏籤を引くからダメと思うかは、個々人で違うと思いますが、国際機関では一般人が年間1mSv、これくらいがガマンできる量としよう、という1つの基準としています。

最初に突入した人たちは今は後方支援。逆に言うと、ベテランはもう使えなくて、新米ばっかり。なるべく若くない人で。となっています。九電関係者も(子会社も孫受けも)半分くらいが福島第一の支援に行っていました。



E 多くの子供たちやそのお母さん、また若い人たちもたくさん生活しています。比較的高い放射線の下、福島で生活している人たちの健康はどのように守られているのでしょうか?広島の原爆の被爆者の治療の実態は、アメリカ軍によって緘口令が敷かれていたと、現場で治療にあたった肥田舜太郎医師が明言されていますが、今回はこのようなことが起こってはいないですよね?

(H.N)避難している人たちの内部被曝は殆どありません、初期の頃出ていた被曝のデータは、間違っていたことが判って訂正されていますが、マスコミはニュースにしません。それでもかなり空間線量の高い所で暮らしている人たちが居るのは事実です。故郷を捨てろと言われたら、うーんです。私位の年齢なら一生居ても、影響が出る前に100歳になりますが、まあそんなに長生きするとは思っていないんで、故郷に留まりますが。難しい問題です。30より若い人はあと100km離れてといいたいとこです。市町村や県では出来ない国がちゃんとしてやらないと。でも、他の人は税金が増えるからヤダというし。

回答で無く、ぼやきで長くなってしまいました。皆さんゴメンナサイ。

PS
前回の疑問に答えていただいた中で「スリーマイルアイランドの事故(銅メダル級の事故)の時は・・・、団体金メダル級の事故」の表現は実に‘言い得て妙’ですが、“メダル”はポジティブな意味が強いので、不特定の多くの人が見る掲示板では、あまり使わない方がいいのではないかと思います。

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